無垢の椅子が収縮で不具合を起こすとき、たいてい静かに進みます。フレームは完璧な姿で工場を出て、コンテナで5週間を過ごし、乾いた暖房の効いた家に着き、3か月後に接合がカチッと鳴るか、座板に細いひびが入ります。十中八九、原因は樹種でも接着剤でもなく、きちんと管理されなかった含水率です。
数字の意味
生木は水分でいっぱいです。乾くにつれ、まず繊維飽和点——含水率およそ30%——まで自由水を失い、それを下回ってはじめて、木は実際に収縮し動き始めます。ですから30%以下まで乾かすのは任意ではなく、そこで寸法上の仕事が起きます。乾燥の目標値は、家具がどこで暮らすかで決まります。屋内はおおむね相対湿度30〜60%にあり、これは木の平衡含水率でおよそ6〜11%にあたります。屋内家具なら、加工ラインに乗る前に一桁台まで乾かします。
木は均一には縮みません。ここをお客様は見落としがちです。接線方向(年輪まわり)の収縮は、半径方向のおよそ2倍が普通で、多くの家具樹種でT/R比は2近くになります。この不均一な動きが座板を椀状に反らせ、フレームをゆがめます。年輪が厚み方向に通る柾目の脚が、板目より反りにくいのもこのためです。効いてくる部材については、樹種だけでなく木取りの向きまで指定します。
悪いコスト削減が起きる場所
価格優先の工場が取る近道は、乾燥窯から早めに材を出すことです。半乾きの材は仕入れが安く、扱いも軽く、完成した椅子では初日には見分けがつきません。請求書はあとから、お客様の家で、御社の保証問題として届きます。当社は数日余分に窯で在庫を持ち、部材を切る前に水分計で測るほうを選びます。これは製作全体で最も安い保険です。
当社のラバーウッドとブナのフレームでは順序も大切です。ラバーウッドは製材直後にホウ素系防腐処理をかけ、それから人工乾燥します。どちらかを飛ばしたり急いだりすれば、割れの問題を、虫害やカビの問題に取り替えるだけです。中国とベトナムの両ラインで、この一連を省かずに回しています。
仕向け市場が目標値を変える理由
仕入れ先から滅多に聞けないトレードオフがあります。唯一「正しい」含水率というものは存在しません。椅子は行き着いた場所の環境に平衡するからです。湿った沿岸市場向けに乾かしたフレームと、乾いた中央暖房の北の冬向けに乾かしたフレームは、同じ製作ではありません。暖房の効いた屋内は冬に木を6〜11%の下端まで引っ張ることがあり、その気候に対して湿めに乾かした椅子は、納品後も縮み続けて接合が緩みます。逆に湿った市場向けに乾かしすぎた椅子は膨らみます。当社は仕向け先を先に伺い、窯をそこへ合わせます。すべてを一つの数字に乾かして祈る、ということはしません。
だからこそ、低ければ低いほどよいとばかりに、最低の含水率を追うこともしません。乾きすぎた木は脆く、加工ラインで割れることがあり、どのみち湿ったコンテナや倉庫で水分を吸い戻します。目指すのは、その椅子の一生にとって正しい数字を、ぶれずに当て、水分計で確かめることです。お客様に届くころには木が保てない、スペック表上だけの英雄的な低い値ではありません。
仕入れ先に尋ねるべきこと
本物の木工場と仲介業者を分ける質問が二つあります。一つ目は「何%まで乾かしますか。加工前に測っていますか」。曖昧な答えは赤信号です。二つ目は「組み立て前に部材をどう養生しますか」。乾いたほぞを湿ったほぞ穴に接着すれば、将来の破綻を組み込むことになるからです。当社はこれを最終検査ではなく、接合の段階で押さえます。
製作と試験の方法はBIFMAおよびENに沿い、試験はご注文ごとに手配できます。以前の仕入れ先で割れや緩みが出たことがあれば、写真を輸出窓口までお送りください。含水率の問題は痕跡を残すので、たいてい読み取れます。当社のODM/OEMの進め方では、乾燥と養生のチェックをサンプル段階で組み込み、量産前にご確認いただけます。
